癌の原因 第22回

 

=癌の原因 第22回=  
 癌患者さんに質問しました。すると、右乳癌患者のほぼ全員に共通していたのは、「あなたは、なぜ癌になったと思いますか?」と質問されたとき、「私が癌になるなんて、まったく心当たりがありません」と答えてきたことでした。「なぜ、私が癌になったのか分かりません、私は癌になるような原因をつくっていた覚えはないし、癌になるような生活など絶対にしてきません」と強い確信をもって答えていました。
 その後に続けた質問で、個別の事情は様々だったとしても、家庭内がなかなか患者さんの思うようにいかず、大半の場合は夫に対する不平不満でした。中には親に対する不満もありましたが、いずれにしても、患者さん本人が自覚しない形で心理的ストレスを抱えていたのです。
 家庭内の問題について、さらに詳しく調べていくと、患者さんの心の底には、「男性との争い」によるストレスが長期間あったことが明らかになりました。男性との争い―――例えば、夫との結婚生活に疑問を感じていて、ときにはそれとなく離婚話までもちだしたら、夫に不信感を抱き、お互いが背を向けあうような状態で日常生活を暮していたり、夫に対して気にくわないことが多く、ことあるごとに腹が立つのを抑えて我慢していたなど、患者さんにとってかなり強い心理的ストレスが続いていたことがうかがい知れました。
 とても理論的かつ理性的な頭脳をもった人で、現実的に物事を考えて処理しようとする傾向がありました。そうした面が、長年にわたって家庭内の人間関係、とりわけ夫との関係で、強い心理的ストレスを抱え込むことになったのかもしれません。
 これにたいして、左乳癌患者さんのストレスは、「あなたは、なぜ癌になったと思いますか?」と同じ質問に、ほとんどの左乳癌患者さんは、「あのとき、かなり無理していました。きっとあのころの生活が癌になった原因だと思います」とあまり間をおかずに答えてくれました。左乳癌患者さんには、肉体的にかなり負担をかけた時期があったのです。ですから、「なぜ、癌に?」と訊かれたら、当人には「身の覚え、心当たり」があるのです。しかも、体にもっとも負担をかけた時期はどなたも一様に、乳癌と診断される6か月前から1年前で、ストレスを受けていた時期は右乳癌患者さんと比べればそれほど長くありませんでした。その時期に乳癌が発生したわけではありませんが、その時期に受けたストレスが癌を急速に進行させるきっかけになった可能性が考えられます。
 左乳癌患者さんは、心理的ストレスよりも肉体的ストレスが発症に関係していると思われました。
 多くの患者さんから話を聞くうちに、似たような内容の答えをしてきた患者さんは、やはり同じ癌が発生しているという事でした、つまり、肺癌になる前のストレス、胃癌になる前のストレス、大腸癌になる前のストレスというように、病名別にはっきりと異なっていました。
 私が発した質問から得られた、帯津病院の癌患者さんの回答を総括すれば、癌患者さんには、癌を発生させたと思われる心理的ストレスあるいは肉体的ストレスが、癌と診断される以前から存在していたということです。しかもそれぞれの癌には、それぞれに特徴的なストレスがあったということです。
一部抜粋書換え加筆
[参考文献]『ガンをつくる心 治す心』土橋重隆(医学博士)2006 主婦と生活社

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