癌の原因 第20回

 

=癌の原因 第20回=
 子供の眼球にできる網膜牙細胞腫という癌や、家族性大腸ポリポーシス症(数千のポリープができる)に続発する大腸癌が遺伝する代表的な癌です。しかし、そういうものは少数で、ほとんどの癌は遺伝とはいえません。発癌には、むしろ生活習慣や生活環境が強い影響をおよぼしているのです。その結果として遺伝子の傷がたまって癌が生じるのです。
 どのようなものが遺伝子を傷つける原因になるかというと、煙草を筆頭として、食物中に含まれる物質、大気汚染物質、水道中の化学物質、B型・C型などの微生物、性ホルモン、日の光など際限がありません。現在では、全臓器の三分の一は煙草、他の三分の一は食事、のこりの三分の一は大気汚染などの生活環境の影響で生じる、といわれています。
 放射線にも発癌作用があることは、原爆や原子炉事故による被曝で明らかになっています。微量な放射線でも遺伝子になんらかの傷をつけますから、土や建築材料からでる自然の放射線も発癌に一役かっているはずです。日本では医療による放射線被曝が世界の数倍にも達する事実があります。このため、医療被曝(ことにレントゲン診断)による発癌は、全臓器の癌の数パーセントを占めるのではないかと推定されます。
 加齢とともに遺伝子の傷が増加する一方で、癌死亡率が急上昇するところをみると、癌の本質は老化といえるのではないでしょうか。秦の始皇帝の時代から、人は老化と闘って勝ったためしがないのです。どうやら癌は、その本質上治らない、と考える必要がありそうです。
一部抜粋書換え加筆
[参考文献]『患者よ、がんと闘うな』近藤誠(医学部放射線科講師)1996 株式会社文芸春秋

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